最初に作ると、だいたいハマる。手道具木工が楽しくなるもの
手道具木工を始めるとき、「何を作ればいいですか?」と聞かれます。
正直に言うと、完成度が高いものや人にプレゼントすることが前提のものは、最初の作品は向いていません。
最初に作るものは、「上手に作れそうなもの!」じゃない方がいいのです。
「作っている時間が楽しそうなもの。」を選んでください。
おすすめなのは、・小ぶりなもの・失敗しても使えるもの・作っている過程が楽しいもの。
この3つを満たすものがいいでしょう。
というわけで、ほぼ全員が楽しめる(と思われる)もの、特に材料を問わないもの3つを紹介します。
① 鍋敷き・コースター —— 木工の「理想的スターター」

鍋敷き・コースター作例
1作目は、ほぼこれで決まりです。
理由はシンプルで、今できることが全部詰まっているから。
・鋸で切る・平面を出す・鉋で削る・角を落とす・手触りを確かめる…
多少歪んでもまったく問題ありません。
グラスやカップはちゃんと置けます。
四角じゃなくてもいいでしょうし、厚みがバラバラでも味わいになります。
作り終わったあと、「これ自分で作ったやつだ。」と何気なく使い続けてしまう確率、かなり高いです。
▶ 向いている人
「とりあえず手を動かしたい人」
記事中にもあるように、爺が木工を始めた時の最初の実用品でした。
僅かな材料と手道具「三種の神器」だけで作られます。
あとは根気でしょうね。
贅沢な時間を楽しんでください。
「作例参考の過去記事」リンク
鍋敷き・コースター —— 木工の「理想的スターター」:
② 小さな箱(フタなし) —— 木工っぽさを味わいたい人向け

小さな箱(フタなし)作例
「もう少し木工らしいことがしたい」
そう思ったら、フタなしの小箱がおすすめ。(フタあってもいいですよ)
板を切って、削って、加工して、くっつける(釘 or 木ねじ and木工用ボンド)
最初は、今、できるだけの精度の追求となります。
あちこちに隙間ができてしまっても「ご愛嬌」です。
作例では「留め(45度)合わせの加工になっていますが、最初は長辺・短辺・底板とも・平面・直線・直角でのデザインでいいと思います。
この画像は、実は過去記事のティッシュBOX本体の組み立て時のものです。
大きめのゴムバンドを購入すれば、ハタガネやクランプがなくても小箱程度なら大丈夫との参考にしてください。
自身の今の技量と相談しながら作業を楽しみましょう。
「箱っぽく」なった時点で勝利はあなたのものです。
完成後は、・鍵入れ・ペン立て・小物入れ等々、用途はいくらでもあります。
ここで初めて、「もう少しきれいに作りたいな」と思えたら、それは立派な一歩目です。
▶ 向いている人
「形になる達成感を味わいたい人」
「作例参考の過去記事」リンク
小さな箱(フタなし) —— 木工っぽさを味わいたい人向け:
③ 額・フレーム —— “使える”と一気に嬉しくなる

額・フレーム作例
ほんの少し高度なものに挑戦したい方におすすめなのが、額・フレーム。
これ、完成すると満足度が一段二段と、階級が跳ね上がります。
理由はふたつ。
一つ目は毎日必ず目に入るから。
二つ目の理由は、木工の基礎技術が全て盛り込まれているから。
詳しくは、本記事最後にあるリンク集から飛んでいただき、その意味を知ってください。
さて、額・フレームですが、角度をどうするか考えたり、鑿で溝を掘ったり、削りすぎて「あっ」となったりと初心者にとっては難易度の高いものになります。(すすめておいて、すみません)
でも、多少失敗してもフレームの役割はちゃんと果たします。
作例の画像では「桟組み」(左)と「刳りもの」(右)です。
「桟組み」にして留め切りが困難であれば、直線・直角・直交のものを作ってみるとか、自分なりのアレンジをしてみてください。
「刳りもの」に関しても自由な発想で、作ってみてください。
ガラス(アクリル板)・金具・裏板も忘れずに…
多少失敗しても、市販品のようにスッキリしていなくても、なぜか愛着の湧くものが出来るはずです。
それが「手道具木工」の成せるワザです。
▶ 向いている人
「作った実感を、すぐ生活に持ち込みたい人」
「作例参考の過去記事」リンク
額・フレーム —— “使える”と一気に嬉しくなる:
最初は「成功体験」を重ねるだけで良しとしましょう。
「手道具木工」の目的は、技術を身につけることでも、作品を売ることでもありません。
木を切った、削った、触って楽しかった、これだけで十分。
上手くいかなかったところも、「次はこうしよう」思えられればOKです。
完璧じゃないからこそ、また触りたくなるものです。
電動工具だと、「失敗=やり直し」になりがちです。
でも手道具は「失敗=味わい=(趣・おもむき)」になりやすい。
少し歪んだコースター、寸法が合ってない箱、ちょっと角度がおかしい額縁(フレーム)、隙間の目立つモノたち。
それでも、自分の贅沢な時間がちゃんと残っています。
みんな通る道。初心者「手道具木工失敗あるある集」
これから出てくる失敗、ほぼ全員やります。
そして安心してほしいのは、そのほとんどが「失敗しても別に問題ない!」ってことです。
むしろ、ここを通らないと楽しくならない。
それが「手道具木工」です。
あるある① 最初から「真っ直ぐ・きれい」を目指しすぎる。
仕上げたと思ったら、いきなり定規を当ててみて、「1mmもズレた…」と落ち込む。
これ、初心者あるあるの王道です。
でも冷静に考えてみると、そのコースター、多少歪んでもグラスは置けます。
手道具木工は、機械の代わりをする作業ではありません。
最初は「だいたい合っている」「見た目がそれっぽい」で充分です。
▶ 回避のコツ
「使えればOK」「雰囲気出たら勝ち」と言い聞かせる。
あるある② ワザではなくチカラでどうにかしようとする
鋸が進まない → 力で押さえつける。無理やり挽く。
鉋が削れない → 刃を出し過ぎる(出さな過ぎる)。刃が研げていない。鉋台の不適切。
鑿が入らない →刃が研げていない。力が入り過ぎる。
結果、曲がる、欠ける、変な方向に切れる、削れない、仕上がり面が荒い…等々。
手道具は、まず刃物の切れ、次に力より角度とリズムです。
うまくいかないときは、だいたい「刃物が研げていない(切れ味が悪い)」「ちょっとズレてる」だけ。
▶ 回避のコツ
一旦立ち止まり、刃物を研ぐ。
姿勢と道具を見直す。
あるある③ いきなり道具を全部揃えたくなる
「あの道具も必要じゃないか?」「これがないと無理じゃないか?」などとなりがちです。
でも、最初に揃えすぎると、使わない、場所を取る、やらなくなる
の三重苦に陥ります。
鋸・鉋・鑿、この「三種の神器」があれば、しばらく充分です。
▶ 回避のコツ
「必要になったら買う。」を合言葉にする。
あるある④ 木を“ただの材料”として見てしまう
電動工具に慣れていると、木を「加工される対象」として見がちです。
でも手道具では、樹種、木の性質、硬さ、木目、乾燥度(含水率)、これらが全部、結果に出ます。
例えば「なんで綺麗に削れないのだろう?」と思ったら、大抵の場合は刃物の切れ味で、次に木目が逆(逆目・サカメ)です。
▶ 回避のコツ
削れない=失敗、ではなく削れない=「理由はなぜかを木が教えてくれている」と考察する。
あるある⑤ 失敗作をすぐ捨てたくなる
曲がった、欠けた、仕上がらない、思っていたものと違う。
そして、「これはダメだな…」とゴミ箱へ。
ちょっと立ち止まってください。
その木、あとで一番勉強になるヤツになる可能性があります。
歪んだコースター、寸法の合わない箱、ちょっと角度がおかしい額縁(フレーム)、なぜか、そういうものほど手元に残ります。
▶ 回避のコツ
「一旦使ってみる」をルールにする。
(眺めているうちに、上手くいかない理由と解決策がヒラメクものです。最低限の上達には時間もかかります。)
あるある⑥ うまくいかない=向いてない、と思う
これが一番もったいないやつです。
あなたは、この道で優秀なプロになるつもりですか?
最初は誰でも時間がかかったり、思ったようにならなかったり、疲れ果てるものです。
でもそれは、向いていないのではなく、
ちゃんと「体を使っている証拠」です。
上達は、「できるようになった」より、実は「違いがわかるようになった」から始まります。
▶ 回避のコツ
昨日より「気づき」が増えていればOKです。
失敗は、効率の反対側にあるご褒美です。
電動工具では多くの場合、失敗はやり直しです。
でも手道具では更に多くの場合、失敗は経験になります。
なぜ曲がったのか、どこで力を入れすぎたか、次はどうするか?
この積み重ねが、「また触りたい」に変わっていきます。
そうです、木工は楽しんで時間をかけさえすれば、それ以上の価値をあなたに返してくれるものなのです。
3回にわたり「電動工具を使わない木工」=「手道具木工」について書いてきました。
今回でこの項目は、一旦区切りとします。
それではまたお会いしましょう!
Let’s try!
「手道具木工」入門 「3種の神器」リンク
鋸(のこ)について:https://sawarabi.blog/noko/
鉋(かんな)について その1:https://sawarabi.blog/kannna/
鉋(かんな)について その2:https://sawarabi.blog/kannna2/
鑿(のみ)について:https://sawarabi.blog/nomi/
「手道具木工」入門 「その他の手道具」リンク
定規(直角定規(スコヤ)(留め定規など):https://sawarabi.blog/jyougi/
差し金(さしがね):https://sawarabi.blog/sashigane/
砥石(といし):https://sawarabi.blog/toishi/
け引き(けびき):https://sawarabi.blog/kebiki/
槌(つち):https://sawarabi.blog/thuchi/
錐(きり):https://sawarabi.blog/kiri/
釘締め:https://sawarabi.blog/kugishime/
やすり:https://sawarabi.blog/yasuri/
クランプ・はたがね:https://sawarabi.blog/clamp/
白書き(しらがき)・チョークライン・墨壺:https://sawarabi.blog/sumi/


コメント