【木工初心者向け】はたがね・クランプの正しい使い方と失敗しないコツ

工具・道具・治具

はじめに

木工を楽しんでいると、「作りたいものに対して、材料の幅が足りない!」ということ、よくありますよね。
爺の工房では、国産の広葉樹をメインに使っています。
自然の恵みである木材は大切に使いたいものですが、特にこれからの時代は、大きな一本の木(大径木)を手に入れることはどんどん難しくなっていくと予想されています。
そこで必要になるのが、幅の狭い板と板を接着して広い一枚の板にする「板はぎ(はぎ合わせ)」という技術です。
また、棚や箱などの木製品を組み立てる時にも、接着剤がしっかりと乾くまでの間、部材同士を固定しておく必要があります。
さらに加工の途中で、治具(ガイド)や材そのものを動かないように固定したい時……。
そんな木工のあらゆる場面で、影の立役者として大活躍してくれるのが「はたがね(端金)」と「クランプ」です。
今回は、木工初心者の方に向けて、はたがねやクランプの基本的な種類と、失敗しないための「使い方のコツ」、そして綺麗に組み立てるための少しプロっぽいテクニックまで、温かく丁寧にお伝えしたいと思います。

「板の接ぎ(ハギ)合わせ」については、こちらの記事を参照願います。:

 

 

はたがね・クランプってどんな道具?

1. 「はたがね」について

金属製の長い角棒の一端に、ネジで締め付けられるような構造がついており、反対側のパーツは任意の場所でカチッと固定できるようになっています。
日本の伝統的な大工道具でもあり、爺の工房でも、鉄製のものや真鍮(しんちゅう)製のものを、大・中・小と用途に合わせて何種類も愛用しています。

2. 「クランプ」について
「クランプ」と一口に言っても、C型クランプ、F型クランプ、平行クランプなど、実に様々な種類が存在します。
工房では、治具をちょっと固定するための数センチ程度の可愛らしいものから、大型家具の組み立てに使う全長3メートルほどの巨大なものまで揃えています。

「クランプ」の種類

「クランプ」の種類

3. その他のクランプ類について
「ベルトクランプ」
ベルトとコマを使い、木材を締め付けるクランプです。
多角形のものや額縁を組み上げるときにあると便利です。
下図ではコマが4個ですので四角形の額縁などを組み立てるなどに使いますが、コマを8個にすれば八角形のものにも使えますし、コマ数を任意に変えることで、さまざまに対応できます。
「コーナークランプ」
四角形のもの(90度)でキチっと仕上げたい時に使うクランプです。
確かに理屈通りではあるのですが、作業効率の悪さがあり、爺はもう何年も使っていません。
今は、箱や棚などの組み立てでも、ノーマルな「はたがね(端金)」と「クランプ」を使い、直角は後述の【ワンランク上のテクニック:四隅の「直角」を出す方法】で組み上げています。

「ベルトクランプ」と「コーナークランプ」

初心者必見!失敗しない使い方の6つのコツ

はたがねやクランプ(※ 以下クランプと表記します)の使い方は、「適材適所」です。
締め付ける対象の大きさ、必要なチカラの強さ、ふところの深さ(どれくらい奥まで挟めるか)などを考えて選ぶことが一番です。
ここでは、どんなクランプを使う時にも共通する、初心者の方にぜひ覚えておいて欲しい大切なポイントを6つ紹介します。
1. 必ず「あて木」をする
組み立ての際、木材に直接クランプの金具を当てて力いっぱい締め付けると、せっかくの綺麗な加工板にキズや凹みがついてしまいます。
これを防ぐために、クランプと作品の間には必ず不要な端材(あて木)を挟むようにしましょう。

2. 力を入れて「締めすぎない」
初めのうちは 「しっかりくっつけたい!」という思いから、ギューギューとチカラのかぎり、限界まで締め付けてしまう方が多いのですが、実はこれ、まったくのNGです。
強く締めすぎると、木材が反り返ってしまったり、必要な接着剤まで全て外に押し出されてしまい、逆に接着力が弱くなってしまう(業界用語で息切れ・接着不良と言います)ことがあります。
ほどよい力加減を心がけましょう。
上達すると留め(45度)の額縁組み立てでも、クランプは押さえておく程度で使います。
加工精度が上がると、クランプの締め付けチカラはその程度で使うものだと気づきます。

3. 広い板はぎは「裏表から交互に」使う(複数個使い)
何枚もの板を横に継いで広い天板などを作る時、片方の面(例えば上側)からばかりクランプをかけると、板が「くの字」に反り上がってしまいます。
これを防ぐために、上から一本かけたら、次は下から一本……と、裏表からサンドイッチするように複数個を交互に配置するのが真っ直ぐ仕上げるコツです。

「クランプ」の交互使い

4. 材の接着面に対して「平行に」使う
クランプの棒の部分が、木材に対して斜めになっていると、締め付けた時に材がズレて滑ってしまいます。
常に木材に対して「真っ直ぐ、平行に」力が加わっているかを確認しながら締めていきましょう。
5. 接着剤が完全に乾ききるまで「絶対に外さない」
「もうくっついたかな?」と途中で気になって外したくなる気持ちは痛いほど分かりますが、グッと我慢です。
木工ボンドの水分が抜けて完全に硬化するまでは、一晩(最低でも半日程度)はクランプをしたまま静かに休ませてあげてください。
「急いては事を仕損じる」です。

6. はみ出たボンドは「乾く前に」拭き取る
クランプを締め付けると、継ぎ目から木工用ボンドがムニュッと少しはみ出してきます。
これを放置して乾いてしまうと、後で削り取るのが非常に大変ですし、塗料も乗らなくなります。
はみ出たボンドは、固く絞った濡れ雑巾(ウエス)などですぐに綺麗に拭き取っておきましょう。

ワンランク上のテクニック:四隅の「直角」を出す方法

棚や箱を組み立てる時、四角形が歪んでひし形になってしまうことはありませんか?
ここで、初心者から一歩抜け出すためのテクニックをご紹介します。
箱を仮組みしてクランプで軽く締めたら、「対角線の長さ」を定規で測ってみてください。
左上から右下までの長さと、右上から左下までの長さ。
この2つの数字が「ピッタリ同じ」であれば、その箱は完璧な直角が出ている証拠です。
もし長さが違う場合は、長い方の対角線に向かって、斜めにクランプをかけて優しく締め込んでみてください。
すると、歪みが矯正されて対角線の長さが揃い、綺麗な直角の箱に仕上がります。
※ 上述の4. 材の接着面に対して「平行に」使う と矛盾しますが、これは「姿勢制御」です。
この際も斜めに締められるような「治具」を使う事をオススメします。

結びに

はたがねやクランプは、一度買えばとても長く工房で活躍してくれる頼もしい相棒です。
最初は締め加減などが難しく感じるかもしれませんが、たくさん使って、木との対話を楽しんでみてくださいね。 (板のはぎ合わせや組み立ての具体的な手順については、またいつか改めて、じっくりとご説明したいと思います。)
皆さんのDIY・木工ライフが、より豊かで楽しいものになりますように!
Let’s try!

 

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