まずはここから。気負わず始める「手道具木工」入門セット
前記事を読んで、「なんか木工は面白そうだけど、正直どこから手を出せばいいかわからない。」
そう思った方、かなり多いはずです。
大丈夫、それが普通です。
いきなり工房を作る必要も、職人道具を揃える必要もありません。
「ちょっと触ってみる」くらいが、結果的にいちばん長続きします。
というわけで、初心者が迷わず始められる道具を、現実的な目線で紹介します。
「基本中の基本となる手道具」ですので、まずは3種類の道具(手道具界3種の神器ですね)、前記事で紹介したものになります。
少し具体的に説明しますので、重複をお許しください。
それは、「鋸」「鉋」「鑿」となります。
前回と今回の記事に出てくる手道具、鋸・鉋・鑿については、最後に、それぞれの手道具解説をした過去記事のリンクを貼っておきますので、そちらをしっかりと読んでいただくと、基礎的なことがわかります。
その他の手道具に関しての説明も必要に応じて、リンクをたどれます。
必要に応じて参照ください。
① まずは1本。木を切る楽しさを思い出す「鋸(のこぎり)」
最初の1本は、「両刃の日本鋸」がおすすめです。
寸法は8寸(240㎜)から9寸(270㎜)程度(鋸身の長さです)のものが多用途に使うことができると思います。
理由はシンプルで、「とりあえず材木が切れる」から。
細かい作業も、ちょっとした板切りも、DIY未満の木工も、これ1本でだいたい対応できます。
最初は真っ直ぐ切れなくても大丈夫です。
むしろ、「あ、木ってこんな感触なのか。」と感じることが大切です。
② 削る音にハマる人続出「鉋(かんな)」
おそらく鉋は敷居が高そうに感じると思います。
実際に職人の使う本格的な鉋だと、刃物の研ぎや、鉋台・裏金の調整に、それ相当の技術が必要となります。
DIYショップや道具屋さんで刃物交換ができる鉋や調整済みのものが出回っているので、場合によってはそれらを求めるのも一つかもしれません。
いきなり名人級の仕上がりを求められる訳でもないので、普通の鉋でも結構だとは思います。
大きさは寸八(すんぱち←鉋の大きさ(幅)のことです)じゃなくてもいいと思います。
鉋がけの感覚を知るためでしたら、場合によっては豆鉋とか小鉋とか呼ばれるものでも最初の鉋としては良いと思います。
但し最初に求めるものは「平鉋」にしてください。
さて鉋ですが、・表面を少し整える・板の角を軽くなでる。
それだけでも、手触りが劇的に変わります。
「シャッー」という音と、薄い削り屑がスーッと出た瞬間、だいたいの人はニヤけます。
これは保証します。
③ 木を“彫れる”って楽しい。まずは「鑿(のみ)1本」
鑿は3本セットや10本セットなどもありますが、最初は12㎜(四分〜18㎜(六分)などを1本で試してみましょう。
柄にカツラのある追入れ鑿(大入れ鑿・たたき鑿)がほぼ万能です。
ちなみに、爺の家具工房では10本セットの鑿が全て3代目以上になっています。
特にその中でも五分鑿(15㎜)は使用頻度が異常に高く、単品で求めることで、現在6〜7代目を使っています。
鑿の加工としては、・溝を掘る・角を落とすなど、これだけで、木工感が一気に上がります。
本当は木槌が良いのかもしれませんが、爺は玄能(金槌)を使っています。
「手道具木工」入門セット(3種の神器) そのあとは?
ここまでは、必須中の必須であろうと思われる木工手道具の「3種の神器」(笑)をお伝えしましたが、興味を覚え更に少しずつ手道具を揃ええるとすれば、どんなモノがあるのかにも言及したいと思います。
順不同ですので、必要を感じた時に、他のもので代替できないか?今後も使うか?等々を考慮し、少しずつ無理のない範囲で揃えて行くのが良いと思います。(たまには、エイヤっと思い切ることも必要ですがね笑)
ここで紹介するものは、爺の手道具用の道具箱に入っているもので、人によっては当然「過不足」があるものです。
自身の環境と照らし合わせ、揃えてください。
(1)定規(直角定規(スコヤ)(留め定規など)
・直角定規(スコヤ):加工材の直角を確認したり、組み立て時に直角を調べたり、直角に墨線を入れる時などに使います。
・留め定規:45度の角度を「留め(とめ)」といいます。それで45度を測る定規を留め定規といいます。
・斜め定規(自在定規)・プロトラクター:任意の角度が必要な時に使います。
(2)差し金(さしがね)
「さしがね」(差金)は別名として「曲尺・矩尺(まがりじゃく・かねじゃく)」とも言います。
一般的に、幅が15㎜で作られていて、 表目の長手(長い方)に450〜500㎜ 妻手(短い方)には200〜250㎜程度の目盛りがついています。
裏目には表目の√2に当たる目盛りがついていて、正方形の一辺の長さが表目目盛りであり、裏目目盛りはその対角線の長さとなります。
(3)砥石(といし)
刃物を研磨するために用いるものです。
鉋や鑿など、刃物を本格的に使うとなると、避けては通れないモノになります。
最初は人口砥石の「中途石」と同様の「仕上げ砥石」の二つで充分です。
(4)け引き(けびき)
「け引き」は「罫引き」とも書きます。
櫛型の定規板に平行に線が引けるように刃の付いた竿を直角に取りけたものです。
ネジか楔(くさび)で任意の位置に刃を固定できるようになっています。
ある面から一定の寸法で線が引けるもので、ホゾやホゾ穴などの罫書きには重宝するものです。
平面が出ている板の厚みを揃えるための罫書きにも重宝します。
(5)槌(つち)
釘うち、組み立て、鑿うち、鉋調整など、強く打ち込む時に用いる打撃用の道具です。
金槌(かなづち)と言えば、すぐにわかりますね。
木工では金槌・木槌・プラスティックハンマー・掛矢などを使いますが、玄能(げんのう)と言われるものが大小あれば事足りると思います。
(6)錐(きり)
キリは材料に丸い穴をあける道具です。
電動工具が主流になっている現在の木工道具では、存在感が薄いものの一つです。
手道具としては洋式のハンドドリルが便利かもしれません。
※ その他
・釘締め
・やすり
・白書き(しらがき)・チョークライン・墨壺(すみつぼ)
・はた金・クランプ
などなどがあります。
シツコイ様ですが、必要になった時、代替品がない時、誰かに借りられない時、初めて入手することを考えましょう。
完璧な道具立てより、まず体験です。
大切なことは「作るもの」に縛られないこと
初心者が挫折しがちなのが、「何を作るか」を先に決めてしまうことです。
でも、手道具木工の入り口は真逆です。
・切ってみる・削ってみる・彫ってみる・失敗してみる—
その中で、「あ、これ箱にならないかな」「コースターでもいいか」くらいの取り組み方がちょうどいいのです。
完成度より、「触った時間そのものが楽しかったかどうか」。
それだけ覚えておいてください。
いきなり道具は増やさなくていいのです。
増やすのは向き合う時間です。
電動工具と違い、手道具は最小限で楽しめます。
むしろ、同じ道具を使い続けるほど、感覚が育っていきます。
・静かな音・木の香り・加工した後のあとの手触り、それは、スマホを遠ざけないと得られない時間です。
とても贅沢な時間です。
結びにひとこと
「正確さや効率だけが豊かさではない。」
これはスローライフの標語でも、意識の高い言葉でもありません。
ただ、「手を動かしている時間が、ちょっと好きだ。」
それだけの思いで、手道具木工を始める理由としては十分です。
電動工具を使わない木工のいちばん自然な入口です。
初心者が陥りがちな失敗は、手道具木工を続けている全ての人の通過点です。
失敗しないことより、「ちょっとでも楽しかったかどうか」。
「正確さや効率だけが豊かさではない。」という言葉は、失敗した木片の山の中で、いちばん実感できます。
「失敗した木片の山」それはあなたが前に進んだ証拠です。
次回は、最初の木工作品に相応しいのではないかと爺が思うモノと初心者失敗あるあるについて書きたいと思います。
Let’s try!
「手道具木工」入門 「3種の神器」リンク
・鋸(のこ)について:https://sawarabi.blog/noko/
・鉋(かんな)について その1:https://sawarabi.blog/kannna/
・鉋(かんな)について その2:https://sawarabi.blog/kannna2/
・鑿(のみ)について:https://sawarabi.blog/nomi/
「手道具木工」入門 「その他の手道具」リンク
・定規(直角定規(スコヤ)(留め定規など)
:https://sawarabi.blog/jyougi/
・差し金(さしがね):https://sawarabi.blog/sashigane/
・砥石(といし):https://sawarabi.blog/toishi/
・け引き(けびき):https://sawarabi.blog/kebiki/
・槌(つち):https://sawarabi.blog/thuchi/
・錐(きり):https://sawarabi.blog/kiri/
・釘締め:https://sawarabi.blog/kugishime/
・やすり:https://sawarabi.blog/yasuri/
・クランプ・はたがね:https://sawarabi.blog/clamp/
・白書き(しらがき)・チョークライン・墨壺
:https://sawarabi.blog/sumi/


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