面チリと収まり
箱や棚などをプロっぽく作ってみたいと思いませんか?
爺は師匠がいなかったので、木工を始めた頃は「面チリと収まり」についての知識は皆無でした。
今思えば、こんな簡単なことで..となる訳ですが、どんなに簡単なことでも気づくまでは謎であるのでした。
どうやったら専門家の作る棚物・箱物を作ることができるのか?
実は、ほんのチョッとしたコツを知るだけで、それが可能になるのでした。
「框(かまち)構造を学ぼう!」の過去記事で框の仕口を知ることで、初級者と上級者では大きな差が出るもののひとつだと書きました。
今回の記事「面チリ(ヂリ)」は、それと同等もしくはそれ以上に仕上がりに差が出るものです。
しかも、框加工ほど困難なものでは無く、知っているのと知らないのとでは、タンス・キャビネット・本棚などのいわゆる「箱物」の仕上がりが、全く違うものになるのです。
爺の住む地域では、職人言葉で「面ヂリ」をとるとか「チリ」をとるとか言うので、以下「チリ」をとるとか「面ヂリ」と表記します。
「チリ」をとるとは具体的にどう言うことかですが、木工の世界では面と面が接するところに意図的に段差を付けることを指します。
これが本日の話の「要」になります。
先ほどの「框(かまち)構造を学ぼう!」にも書きましたが、木工の世界では平坦なものでもよく見ると凹凸があり、彫の深い印象を与えるモノづくりがプロの技とされているのです。
この掘りの深い印象と平面のノッペりとした印象では天と地ほどにも差があるのでした。
建築や木工で「収まりがいいね」と言われるのはバランスが良いことやこの彫りの深さが背景にあることが多いのでした。
「収まりが良い」という表現ですが、木工の世界ではデザインが良いことも勿論含まれるのですが、それだけでは無く質感の良さや、この彫りの深さも含めた全体の意匠のことを指すものです。
それでは早速「チリをとる」解説に入ります。
具体的な加工方法

図-1
図-1をご覧ください。
仮にですが、本棚などの天板と側板の一例と考えて見てください。
左側の画像は板幅が同じ天板と側板を単純に合わせたらどうなるのかといった例になります。
印象はどうでしょうか?
いかにも素人が組み合わせた仕口という風に感じると思います。
最近は見ませんが、大昔のカラーボックス(カラーボックス自体が今では見ませんね。死語でしょうか?)などはこんな感じでした。
用途には間に合うけれど、見栄えとすれば決して良い物ではありませんね。
これは面取りもなされておらず、面ヂリもとってない例となります。
図-1真ん中の画像は面取りして、面ヂリをとってない例となります。
天板の下部と側板の上部が合わさる部分に隙間が出来ています。
せっかく面をとって使いやすく、目にもやさしい仕口となったのですが、残念ながら面ヂリ(意図的に段差を付けること)が出来ていないために、面の分だけ段差が出来ています。
職人言葉では「ハジヲカク」(恥をかく)と表現したりします。
決して見た目の良いものではありませんよね?
さて、それではどのように加工すればいいのか?
図-1右の画像が、その答えとなります。
なんのことはない。
側板と天板の幅に面の分よりほんの少し差をつければいいのです。
つまり
天板の幅>側板の幅となります。
ほんの少しとはどの位なのか?については、「収まり」につながります。
面でとられる部分+αになります。
そのモノによって、あるいは作り手の感性によって決まってきます。
意匠やデザインによる処が大きいと思います。

図-2
爺の机の上に置いてあるちょっとしたものを置く棚が図-2です。
簡単な構造ですが、今回の解説に沿って説明します。
天板の幅 216㎜
側板の幅 208㎜
棚板と底板の幅が202㎜
で仕上げてありました。
面の大きさは2㎜程度でした。
但し、この棚は前後どちらでも使えるように「面ヂリ」をとってある構造ですので、「面でとられる部分+α」は各々2倍となっています。
こんな事を無意識にできるようになれば「面トリ」や「面ヂリ」のプロフェッショナルです。
最後に意匠により思い切って面ヂリをとった例を画像で載せておきます。
これは、爺の好きな映画のDVDやブルーレイディスクを収納しておく棚の天板と側板のアップ画像です。

図-3
わかりにくいでしょうが、側板の前部分に飾り板を貼り付けて厚く見せてあります。
そこで、飾り板前部分の飾り板より、バランス的には天板を大きめな幅にして「面ヂリ」をとってあります。
天板の長さも同様に「面ヂリ」というよりは「逃げ」と言えるほど大きなものになっています。
これらは「意匠」や「デザイン」を考えた結果のものです。
さて、これまで「面トリ」と「面ヂリ」についてお話してきました。
このふたつを覚えるだけでも作品のグレードは一気に上がるので、ぜひ理解をして経験を積んでみてください。
「面トリ」については過去記事「額縁を作ってみよう!(4)」の今日の一言でも書いていますので、参考にしてください。
「金とらん仕事と面とらん仕事はするな!」
本日の一本 007
原 題: National Treasure: Book of Secrets
邦 題 :ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記
配 給 :ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
公 開 :アメリカ・日本:2007年12月21日
主な俳優: ニコラス・ケイジ ダイアン・クルーガー
ジャスティン・バーサ ジョン・ヴォイト ヘレン・ミレン
ニコラスケイジ扮するゲイツが大活躍のシリーズ第2弾の映画です。
ストーリーはネタバレになってしまうので、ひたすらドキドキ・ハラハラの大活劇とだけ紹介しておきます。
是非観ていただきたいのは、アメリカ大統領だけが閲覧できる「秘密文書」の内容確認のため大統領の誘拐犯として追われるシーンです。
正式な名称は忘れましたが、日本で言うところの国会図書館みたいな所での追いつ追われつの緊迫シーンなのですが、爺はなぜか次々と出てくる意匠を凝らした「本棚」の方に目がいってしまいました。
転換の早いシーンの連続でしたので、しっかりとは見られなかったのですが、重厚な本棚の数々が出てきます。
どんな凄い棚であっても、基本的な加工技術の集積から成っています。
これよりも凄い本棚が出てきた映画は、いくつかあったのですが、思い出せませんでした。
きっと何かの拍子に思わぬ所で思い出すのでしょうね。(記憶力の乏しさ露呈)
まぁ、こんな映画の楽しみ方もあってよいのではないでしょうか?
それではまた。
Let’s try!
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