仕上がりの極意は「磨き」にあり 手作業でのサンドペーパーがけの極意

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はじめに

木工において、最終的な仕上がりを左右するのは「塗装」だと思われがちですが、実はその前段階の「サンディング・サンドペーパーがけ」「木地仕上げ」こそが最も重要な工程です。
どれだけ高価な塗料を使っても、下地のサンディングが疎かでしたら、手触りは悪く、塗装ムラになり、せっかくの作品が台無しになってしまいます。
逆に、丁寧なサンディングが成された木肌は、光沢と吸い付くような質感で無垢材の持つ魅力を発揮します。
今回は、初心者から中級者まで、改めて見直したい「手作業でのサンドペーパーがけの極意」を、解説して届けします。

サンドペーパー(紙やすり)の基本

サンドペーパーの番手(#)例

サンドペーパーの種類

上図をご覧ください。
左側がサンドペーパーの裏側、右側は表側になります。
裏側には番手がそれぞれ印刷されています。
100番〜1.000番を撮ってみました。
上から4枚目までが、一般的な「ABRASIVE PAPER」で、下の3枚が「WATERPROOF」の「ABRASIVE PAPER」となります。
「WATERPROOF」ののペーパーは後で出てきますが、【ワンランク上の仕上がり!「水引き」と「水研ぎ」のテクニック】の項目で使うもので、文字通り「耐水ペーパー」となります。
用途に応じたサンドペーパーを使うようにしてください。

サンドペーパーの番手の数字が持つ意味

サンディングの第一歩は、サンドペーパーの「番手(数字)」を知ることから始まります。

• 低番手(#60〜#100): 粗削り用。木の段差を削ったり、大きな傷を消したりします。
• 中番手(#120〜#180): 仕上げの準備。粗削り時の傷を消し、表面を整えます。
• 高番手(#240〜#400): 最終仕上げ。塗装直前の最終調整や、塗装の間の研磨に使用します。
• 超高番手(#600〜): 超最終仕上げ。漆塗りなど特殊な塗装直前の最終調整や、塗装の間の研磨に使用します。

※ 鉄則:番手を飛ばしてはいけない!

木工におけるサンドペーパーがけ最大のルールは、「前の番手でついた傷を、次の番手で消していく」という作業の繰り返しです。
例えば、#80で削った後にいきなり#240へ飛んではいけません。
#80がついた深い傷を#240で消すには膨大な時間がかかり、結局消しきれずに残ってしまいます。
一般的な推奨するステップ:#80 → #120 → #180 → #240 → #320 → #400 → #600 → #800 →
このように、最初は前の番手の1.5倍程度のを目安にステップアップするのがおすすめです。
一般的な仕上げとしては#240程度まで、更に美しく仕上げたいのであっても、普通の塗装であれば(オイルステイン・オイルフィニュッシュ・ウレタン塗装など)#320 とか #400までで充分でしょう。
後述しますが、オイルフィニッシュでしたらオイルを塗り込み更に水研ぎ(この場合オイル研ぎですね)を繰り返し#600 →その上という方法もありますが、一般的なそれ以外の塗装であれば#320程度で充分です。
それ以上は、余り意味のない作業となってしまいます。
拭き漆など特殊な仕上げになると、#600 程度で一度下塗りをして→ #800 →#1000 → #それ以上〜と重ね塗りを進めるのが良いと考えます。
サンドペーパーがけにおける禁止事項は「木目を横切って掛けること」です。
木材の繊維に対して直角や斜めに動かすと、僅かな傷が残り、塗装した途端にその傷が浮き出てきます。
一部例外はありますが、常に、繊維の流れる方向(木目方向)と平行にストロークさせましょう。

なぜ「当て木」が必要なのか?その圧倒的なメリット

仕上がり面を崩さない

初心者がやりがちなのが、サンドペーパーを直接持ち、指で押さえて掛けてしまうこと。
しかし、プロの現場で「素手」でのサンドペーパーがけは、ほぼ行われません。
人間の指先は柔らかいため、均一に圧力をかけているつもりでも、木材の硬い部分(冬目)を残してしまい、柔らかい部分(夏目)ばかりを削ってしまいます。
その結果、表面が微妙に波打ってしまうのです。
「当て木」を使うことで、ペーパーの面が水平に保たれ、ビシッとした真の平面を出すことができるのです。

角(エッジ)を潰さない

直接指でペーパーをかけると、板の端の部分に指が回り込んでしまい、意図せず角が丸まってしまいます。
当て木を使えば、エッジをシャープに保ったまま、面だけを綺麗に整えることが可能です。
特に角面や面取りの小さい場合は、「当て木」は必須です。(そうでなくてもですが)
また、鉋がけ同様に「はじめ」と「終わり」は回り込んで丸まらない様に意識しての作業を心がけてください。

疲労の軽減と指先の保護

当て木にペーパーを巻くことで、握りやすくなります。
その結果、軽い力で効率よく研磨圧をかけられます。
思いの外、サンドペーパーがけは重労働なのですが、その分労力の軽減となり、研磨面も美しくなるという一挙両得になるのです。
また、サンドペーパーがけは指先にかなりのチカラがかかります。
当て木を使うことで、指先にかかる圧力が軽減され指先の皮が薄くなるなどの、弊害から指先を護ることができるのです。

プロのヒント

「当て木」と「プラスティック消しゴム」「丸棒」

上図を参照ください。
角面や小さい面取りの場合、「市販のラバー製サンディングブロック」も勿論適していますが、端材にサンドペーパーを巻きつけた「自作の当て木」も非常に使い勝手が良いものです。(上図左 参照)
また、曲面では、その面に応じた「型」を作ると間違いのないサンドペーパーがけができます。(上図中央 参照)
爺の場合、単純な曲面であれば、「市販のプラスティック消しゴム」にペーパーを巻いてサンディングします。(上図右 参照)
せっかく仕上げた「面取り」や「平面」を崩さず、いかに綺麗に仕上げるかが、作品全体の仕上がりにつながります。

サンドペーパーがけの順番

板材や組み立て前の部品をサンドペーパーがけがする際、闇雲に始めるのは効率が悪いものです。
以下の手順を意識するようにしてください。
① 組み立て前か、組み立て後か?
結論から言いますと「組み立てる前に、各パーツの広い面を仕上げておく」のがベストです。
組み立てた後では、隅の部分に手が届きにくく、サンドペーパーがけのムラが生じやすくなります。
ほぼ例外なしに、組み立て前のサンドペーパーがけができるように、設計段階から段取りしておくことをオススメします。

② 面の優先順位
実は、これに関しては、諸説あると思われます。
爺の方法は…ということで説明します。
部品の加工が終わったとして、板状のものを例とします。
#180から始まり〜〜〜#320まで仕上げるものとした説明になります。
1. #180のペーパーを一番小さい面(面取りしたところ)にかけます。
2. 次に木口:(こぐち)のペーパーがけをします。
3. 更に 木端(こば)のペーパーがけをします。
4. 最後に広い面(木表・木裏):大きな面積を整えます。
これをペーパーの番手をあげて仕上げ番手まで繰り返します。
人によっては全くの逆順を採用している方もおられると思いますが、この方法だと小さな面取りでも型崩れしにくいと爺は思うのです。
ちなみに、木口(こぐち):切断面は塗料の吸い込みが激しいため、他の面よりも一段階細かい番手(#番号が上)までペーパーを掛けるのがコツです。

③ 番手跳びの禁止
冒頭にも書きましたが、重要なことですので再度登場です。
「#80の次は#240でいいや」という横着は禁物です。
「#120 → #180 → #240 →」のように、前の番手でついた傷を、次の番手で消していくイメージです。
特に数字を倍以上に飛ばすと、前の番手の傷が消え残り、仕上がりが汚くなります。
このことは大変重要ですので、しっかりと覚えておいて欲しいものです。

これだけは守ってほしい!サンディングの注意事項

① 粉塵対策は「健康」のため
ペーパーがけで出る粉塵は、肺に入ると健康を害します。
また、一部の広葉樹や輸入材の中にはアレルギーを引き起こすものもあります。
• 防塵マスクを着用すること。
• 可能であれば集塵機を回すか、換気の良い場所で行うこと。
いずれも「転ばぬ先の杖」として対処をお願いします。

② 削りカスの除去
次の番手に移る前に、必ずブラシや固く絞った雑巾で拭く、またはエアダスターで粉を除去してください。
古い番手の荒いサンドペーパーの粒子が残っていると、それで研磨することとなってしまい、細かいペーパーを使っても深い傷がついてしまいます。

③ 「逆目」に注意
木材の繊維が起き上がっている「逆目(さかめ)」の部分は、サンディングでも毛羽立ちやすいです。
本来なら、ペーパーがけ前の「鉋がけ」で「逆目(さかめ)」は解決しておくことではありますが、簡単ではありません。
ここは特に慎重に、軽い力で何度もペーパー往復させることがポイントです。
但し、その部分だけを何度もペーパーがけすると、その部分だけが凹んでしまいます。
上手に周りから段階的にペーパーがけをしましょう。

ワンランク上の仕上がり!「水引き」と「水研ぎ」のテクニック

プロが実践する裏技に「水引き」があります。
毎回でもいいのですが、特に仕上げ番手近くのサンディングの前に、霧吹きなどで木面を軽く湿らせ、一度乾かします。
すると、一度寝ていた木繊維が水分で立ち上がります。
これを「毛羽立ち」と言います。
乾燥後に、最終番手(あるいは次の番手)のペーパーでサッと撫でるように研磨すると、塗装後に毛羽立ちの極少ない、鏡面のような滑らかさを得ることができます。
「水研ぎ」はほぼ同様ですが、「オイル仕上げ」や「拭き漆仕上げ」でオイルや漆を塗り重ねながら、その間に次の番手のペーパーで研磨を繰り返す技法です。
手間も時間もかかりますが、無垢材の魅力をフルに発揮する魅力的な塗装仕上げだと爺は感じています。

まとめ:サンディングは木との対話

木工はほとんどがそうですが、特にサンディングは地味で、根気のいる作業です。
しかし、指先で確認しながら少しずつ滑らかになっていく木肌を感じる時間は、木工の醍醐味でもあります。
・当て木やサンディングブロックを使って平面を出す。
・木目に沿って、サンドペーパーの番手を順に上げる。
・角(エッジ)を大切にする。
これらの基本を忠実に守るだけで、あなたの作品のクオリティは格段に跳ね上がります。
次の週末には、ぜひ「急がば回れ」の精神で、納得のいくまでペーパーを掛けてみてください。
その先には、思わず頬ずりしたくなるような、極上の質感が待っています。
Let’s try!

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