木工の必須アイテム「鎚(つち)」の世界へようこそ!玄能から特殊金槌まで徹底解説

工具・道具・治具

【はじめに】

 

DIYや木工作業を始めようとしたとき、真っ先に思い浮かべる道具は何でしょうか?
「釘を打つ道具」といえば、誰もが一度は手にしたことがある「鎚(つち)=ハンマー・金槌」ですよね。
単純に叩くだけの原始的な道具に思えるかもしれませんが、実は非常に奥深く、用途に合わせて緻密に計算された構造を持っています。
木工作業において、釘打ち、木材の組み立て、鑿(のみ)の打ち込み、鉋(かんな)の微調整など、鎚は「打撃」を通して私たちの思いを木に伝える重要な役割を担っています。
今回は、爺の工房にある鎚をご紹介しながら、その種類や選び方、さらには知られざる事実まで、内容をギュッと濃縮してお届けします!

【鎚(つち)ってどんな道具?】

一口に「鎚」と言っても、世の中には打撃面の材質や用途によって数多くの種類が存在します。
金属製の「金槌(かなづち)」、木製の「木槌(きづち)」、樹脂製の「プラスチックハンマー」、ゴム製の「ゴムハンマー」などです。叩く対象(釘、木材、金属など)によってこれらを使い分けます。
爺の工房では、木工作業のほとんどの場面において「玄能(げんのう)」と呼ばれる金槌の大・中・小があれば事足りています。
ごく稀に木槌やゴムハンマーなどを使うこともありますが、今回は特に木工で主役となる金属製の鎚を中心に深掘りしてみましょう。

【木工の主役「玄能(げんのう)」の秘密】

木工をされる方の多くが、最も頻繁に使用するのが「玄能(げんのう)」です。
一般的に金槌と呼ばれますが、両面に打撃座(叩く面)があるものを特に玄能と呼びます。
諸説ありますが実はこの名前、室町時代の「玄翁和尚(げんのうおしょう)」という実在の僧侶に由来しているという説が有力です。
九尾の狐が化けたとされる毒を放つ石「殺生石(せっしょうせき)」を、彼が大槌で打ち砕いて霊を鎮めたという伝説から、両口の金槌を「玄能(または玄翁)」と呼ぶようになりました。
玄能の最大の特徴は、左右の打撃面の形状が異なることです。
 一方は真っ平らな「平面(平:ひら)」、もう一方はわずかに丸みを帯びた「凸面(木殺し:きごろし)」になっています。(上図参照:分かりにくいでしょうがこの様な微妙な「面」の差です)
釘を打つ際、最初は「平面」を使って真っ直ぐしっかりと打ち込みます。
そして、釘の頭が木材の表面スレスレになった最後の数ミリで、くるりと玄能を持ち替えて「凸面(木殺し)」で打ち込みます。
こうすることで、周囲の木材にハンマーの丸い凹み跡をつけたり傷つけたりすることなく、釘の頭だけを綺麗に木材に沈めることができるのです。
この考え抜かれた機能美こそ、玄能の素晴らしいところです。
(※穴埋め・ダボ埋めなどでさらに深く釘打ちしたい時にはコチラを参考にしてください)

「釘締め」

【爺の工房にある鎚(つち)コレクション】

鎚の種類

では、実際に爺の工房にある鎚を例に、それぞれの特徴と用途を解説します。(上図左側から順にご覧ください)
(1)大型のハンマー(セットハンマーなど:上図一番左)
大型家具の組み立てなど、強い力が必要な場面で使用します。
直接木材を叩くと凹んでしまうため、必ず※「あて木(当て木)」をして使います。
あて木には、部材を傷から守るだけでなく、打撃の力を一点に集中させず面で均等に伝えるという重要な役割があります。
強力な接合が必要なホゾ組みや、楔(くさび)を打ち込むときにも重宝します。
(2)玄能(げんのう:上図左から2番目)
先ほど詳しく説明した通り、釘打ちから組み立て、鑿(のみ)の叩き、鉋(かんな)の刃の調整まで、 木工の基本作業のほとんどをこなします。
柄(え)の素材には、打撃の衝撃を吸収しつつ折れにくい「樫(かし)」などの硬く強靭な木材が使われます。
(3)大工用(片口・釘抜き付き金槌:上図左から3番目)
片面が釘打ち用の平面で、反対側が釘を引っ掛けて抜くための「バール(釘抜き)」になっているタイプです。
元々西洋から伝来した形状(クローハンマー)で、ツーバイフォー(2×4)建築などでよく用いられます。
打つ・抜くという2つの作業が1本で完結するため効率的です。
現代の大工職人さんは電動やエアー工具の「釘打ち機」を使うことが多くなりましたが、手作業の現場では今でも欠かせません。
(4)唐紙金槌・いす屋金槌(上図左から4番目・5番目)
襖(ふすま)の「引き手金具」を小さな釘で固定したり、椅子張り職人が布地を留める鋲(びょう)を打ったりするための特殊な専用金槌です。
頭部が細長く作られており、狭い場所や障害物のある場所でも正確に小さな釘を打てるよう設計されています。
小ぶりで非常に軽いため、繊細なホビー用やDIYの小物作り用として持っておくと意外と便利です。

【道具選びの心得】

木工作業では、対象を傷つけないために打面が木製の「木槌」や、同じくゴム製・プラスチック製のハンマーも存在します。
しかし、どんな道具でもそうですが、まずは「最も多用するもの」を求めるのが基本です。
特殊な道具は何か代替できないか工夫をする。どうしても代替できずに必要に迫られたら、初めて購入を考える。
その様に合理的に考えていけば良いのではないかと爺は思います。
と言うわけで、まず木工で最初に入手すべき鎚類は「玄能(げんのう)」だと言えます。
経験上、玄能は用途が非常に多く元は充分に取れますので、大・中・小の3サイズを揃えておかれると、作業の幅がグッと広がり使い勝手が良くなります。
下図は爺が実際に使っている玄能です。
さして高級品でもありませんが、何十年も役立ってくれています。
手入れをして大切に使えば、鎚は一生モノの相棒になりますよ。

玄能(大中小)

 

Let’s try!

【本日の一本】 013

今回は少し… いや、かなり怖い映画を紹介します。
記事内容が「鎚」でしたので、思いを巡らせてみました。
1番に思いついたのが、この「推定無罪」でした。
有名な映画ですので、ご覧になられた方も多いかとも思いますが、そうじゃない方もおられると思うので、ネタバレにならないように書きます。
ハリソンフォード演じる堅物の地方検事補の不倫から一転してミステリーになります。
ラストシーンで道具箱にある「鎚」が…

ぜひ、ご覧ください!

原 題: Presumed Innocent
邦 題: 推定無罪
配 給: ワーナー・ブラザーズ
公 開 :アメリカ:1990年7月27日   日本1991年6月8日
主な俳優 :ハリソン・フォード、グレタ・スカッキ、ブライアン・デネヒー、ラウル・ジュリア、ボニー・ペデリア、

 

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