木材乾燥の基本とトリビア:天然乾燥の仕組みと「割れ・反り」を防ぐコツ

木材乾燥の基本とトリビア 他にも

【はじめに】

木材は製材してすぐに使えるものではありません。
製材したばかりの木材は、多くの水分を含んでいます。
その様な状態では、加工も容易で無いばかりか、加工後に「割れ」「ねじれ」「反り」などが生じます。
そこで、木材を加工する前には、充分な乾燥が必要となるのです。
今回は、ちょっと厄介な「木材の乾燥」についてのトリビア(豆知識?)を紹介してみます。
最初にお断りしておきますが、この後述べることの一部は爺が「経験的」に学んだり実践したりしていることで、学術的な事実ばかりではありません。
とはいえ「当たらずとも遠からず」であろうと自負はしています。
このブログの一番最初の記事

「木工技術について」

にもあるように、絶対的なものは無いけれど…というスタンスのものだと感じていただきたいと思います。
さらには皆さんも、それぞれの「想い」や「こだわり」、「考え方」を持っていただけたらとも望んでいます。

【天然乾燥】

木材の乾燥方法は大きく分けて「天然乾燥」と「人工乾燥」に分類できます。
「天然乾燥」は文字通り、屋外に用材を以下の方法で自然に乾燥させるものです。
但し、製材したての初期のうちは雨ざらしでも良いのですが(簡易の屋根位は必要です)最低限の直射日光対策や雨対策は必要です。
そうじゃないと、あっという間に「割れ」や「ねじれ」、「反り」などの憂き目に会うことになります。
「天然乾燥」の特徴としては、乾燥過程が管理できないことがあげられます。
どんなに頑張ってもお天気次第、季節次第となります。
乾燥に長時間要するのも特徴のひとつとなります。
一方で経費がかからないという利点もあります。
それでも「繊維飽和点」(含水率が約25%程度)近くまでは思いのほか早く乾燥が進むのも事実です。
人工乾燥の前段階としても必要となるものです。
爺の工房ではほとんどが、この「天然乾燥」に頼っています。
具体的には【爺の木材乾燥の方法と経験則】で後述します。

1. 桟積み(さんずみ)

桟積み例

桟積み例

一般的に「天然乾燥」というと、上図の様になります。
ほとんどの「天然乾燥」はこの様な方法からスタートします。
実際に爺の工房では、ほとんどがこのやり方で「乾燥」をスタートさせます。
桟木(さんぎ)を一定間隔に配置し上から下まで桟木が直線的に通るように置きながら積み重ねていきます。
画像では桟木の間隔が見にくいですが、一般的には300㎜〜600㎜の間隔で桟木を置くことをお勧めします。

2. 稲架(はざ・はさ)掛け

稲架掛け例

稲架掛け例

これは木型屋さんや建具屋さんの用材を乾燥させる時に、よく見かける方法です。
柾目に木取りした針葉樹や広葉樹でも素直な樹種では有効です。
 どんな「天然乾燥」の方式でも、空気の通りを良くすることが要となります。
通風こそが屋外での「天然乾燥」で一番に考慮することになります。

3. 立て掛け

立て掛け例

立て掛け例

上記1. 2. で一定の乾燥が進んだところで、屋内に木材を移します。
屋内スペースに余裕があったとしても、最初からこの「立て掛け」をすることはお勧めしません。
乾燥により材木が自由に変形するからです。
テーブル天板にでもする様な、厚みのある幅広の一枚板や大きめの角材でも無い限り、「繊維飽和点」(含水率が約25%以下)近くまでは、屋外での桟積みを推奨するものです。
上記の条件を満たしたら、逆に屋内へ移すことが必須となります。

【人工乾燥】

人工乾燥施設例

人工乾燥施設例

人工乾燥については、実のところ今まで一度しか経験がありません。
ですので、ドヤ顔で説明はできないのですが、未経験では無いので、知っている範囲での解説です。
この仕事を始めた頃に、手持ちの使える材料があまりにも少なく、他県の木工家を頼って設備のある工場へ「ナラ材」を持ち込んだことがあります。
桟積みをした外形寸法に制限(決まり)があることや、工場によっては上記の前乾燥が済んでいないと受け付けてもらえないこと、何よりも経費がかかることもあり、初心者や趣味での関わり合いは、ほとんど無いものと感じます。
今では温度・湿度と・時間の管理がコンピュータ制御でされているものと考えます。(きっと短時間で素晴らしい結果が期待できるのでしょうね。)
「どうしても」と思われる方は、研究と業者との打ち合わせをしっかりとなさることが必要になることをお知らせします。

【爺の木材乾燥方法と経験則】

爺の場合、工房を構えた頃は、材木屋さんや銘木屋さんなどから、未乾燥材・乾燥材の選別をすることなく、求めていました。
乾燥材は割高でしたが、即使いが出来る利点があり、未乾燥材は将来への投資という意味合いで入手していました。
どちらも、製材済みの既に「板」になったものでした。
今では、ほとんどが「丸太買い」で、板材でも一山単位での購入になっています。
つまりは、製材や乾燥前提の材料仕入れとなっているわけです。
そこで、教科書には書いて無い、爺の経験則から学んだ木材乾燥の秘訣を以下に書いておきます。
この項目は【はじめに】でお断りした通り、理論的に正しいのかどうかは分かりませんが、長年の経験から、正しいと自負しているものです。

1. 桟積み
桟積みをする時の注意点として、木裏を上側・木表を下側に材木を積んでいきましょう。
なんとなく安定そうだからと、その反対に積みたくなりますが、乾燥のスピードが全く違います。
「時は金なり」ですし、なによりも早く使いたいですよね。
もう一つの要は桟のスパンと位置です。
桟の間隔は出来るだけ狭い方が良いものです。
前述しましたが、300㎜から450㎜のスパンが理想です。(最低でも600㎜以下)
もう一つ大切なことは、桟木が上から下まで直線で通っていること。
何段に重ねても横から見た桟の位置がビシっと決まっているのは見ていても気持ちが良いですし、板の暴れも最小限となるものです。
また、最初と最後の桟の位置は材木の端に近い方が良いです。
理由は、材料の木口割れが最小限に収まるからです。

2. 立て掛け
乾燥が適度に進み、室内で「立て掛け」をする時は、樹木として植っていた時と反対に天地を逆に立て掛けましょう。
つまり、末口を下に元口を上に立て掛けるということです。
これも経験則ですが、明らかに乾燥の速度が違います。
以上、木工の教科書にはおそらく書いてないと思われる、爺の経験則でした。

【まとめ】

木材の乾燥について色々と書いてきましたが、まとめてみます。
・伐採や製材後の木材は含水率が高く、そのままでは加工に不向きで
す。
・乾燥を進める方法は「天然乾燥」と「人工乾燥」があるが基本的には「天
然乾燥」の選択をお勧めします。
・購入後の木材は丁寧に桟積みをして半年〜1年を屋外で乾燥させます。
・「繊維飽和点」(木材や気候によって異なりますが、含水率が約25%以
下)近くまで乾いたら、屋内へ持ち込みましょう。
・場所に余裕があれば別ですが、この先は壁などに立て掛け、含水率を
10%以下になるまで待ちましょう。
※ 過去記事 『薪作りに挑戦しよう!!(その1)』
を参照ください。

含水率計測器例

含水率計測器例

これは20年ほど前から工房にある「タモ材」の計測例ですが、乾燥が素晴らしく進んでいて、含水率が約6.5%と計測値が出ています。(凄くいいね!)
・慣れれば「含水率計」など無くても、感覚で乾燥の進み具合が分かるよう
になります。
乾燥の行き届いた木材は宝物のように思えるようになると思います。
その段階で、木工の初心者ではありません!

それではまた。
Let’s try!

【本日の1本 014】

『007/慰めの報酬』(原題:Quantum of Solace)
乾燥と乾きは違うものです。
それは重々承知しています。
実際、乾燥から連想される映画も何本か思いついたのですが、今回は無理やりではありますが、大好きなシリーズの一作「007/慰めの報酬」をあげさせてもらいます。
例によって詳細は是非映画を観ていただきたいので、ストーリーは省略します。
ジェームズ・ボンドの味方であった女性がオイルまみれで惨殺されたことへの報復として、敵の幹部を捕え砂漠の真ん中にエンジンオイル缶だけをポイっと投げ捨て去って行きます。
映画の終盤で、当の幹部は射殺された状態で発見されますが、検視結果で胃の中からオイルが発見されたと説明され、喉の乾きから飲んでしまったことが想像されるものです。(オソロシヤ)
007シリーズの中ではボンドとして珍しく残酷な「リンチ」の描写で衝撃を受ける一方で、彼の怒りの深さや残虐性、人間味?なども感じられ、忘れられないシーンでした。
〜〜〜But if you get thirsty, you can drink that!
「もし、喉が渇いたらそれを飲め!」  でしょうか?
と吐き捨てた表情も怖かったなぁ。
シリーズで観ていただきたい映画です。

原 題 :Quantum of Solace
邦 題: 007/慰めの報酬
配 給 :ソニー・ピクチャーズ エンターテイメント
公 開 :英2008/10.31 米:2008/11.7 日:2009/1/24
主な俳優 :ダニエル・クレイグ   オルガ・キュリレンコ
マチュー・アマルリック  ジャンカルロ・ジャンニーニ
ジェマ・アータートン

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